もしベトナム旅行中、サッカーベトナム代表が大事な試合に勝ったら――。
おめでとうございます。そして、少しだけ覚悟してください。
試合が終わってホテルの外へ出ると、さっきまで普通だった街が真っ赤。
ベトナム国旗を掲げたバイクが次々と走り、あちこちからクラクションが鳴り、「Việt Nam! Việt Nam!」という歓声が聞こえてきます。
道路にはどんどん人が集まり、気がつけば車もバイクも人もいっぱい。
「何のお祭りが始まったの?」
初めて遭遇した旅行者なら、本当にそう思うかもしれません。
ベトナムでは、サッカー代表チームが大きな試合に勝つと、人々が国旗を持って一斉に街へ繰り出すことがあります。
これがベトナムで「đi bão(ディー・バオ)」と呼ばれる、独特の祝勝文化です。
旅行中に偶然遭遇できたなら、一生忘れないベトナム旅行の思い出になるかもしれません。
ただし、その日の夜に空港へ行く予定があるなら話は別です。
今回は、ベトナムのサッカー文化を象徴する「đi bão」と、ダナン旅行中に遭遇したときの楽しみ方、そして旅行者だからこそ気をつけておきたいことを紹介します。
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ベトナム代表が勝つと街で何が起こる?
もちろん、ベトナム代表が1試合勝つたびに街中が大混乱になるわけではありません。
しかし、ASEAN CupやSEA Games、U23アジアカップなど、国民的な注目を集める大会で大きな勝利を収めると状況が変わります。
試合終了後、人々がベトナム国旗を持って街へ繰り出します。
- 国旗を掲げた大量のバイク
- 赤いシャツを着たサポーター
- 鳴り続けるクラクション
- 太鼓やラッパ
- 「Việt Nam vô địch!(ベトナム優勝!)」の大合唱
- 車から身を乗り出して喜ぶ人たち
- 家族連れや子どもまで一緒になった祝勝ムード
そして、大きな試合になるほど、その規模も大きくなります。
これは一部の熱狂的なサッカーファンだけが集まるというより、街全体が巨大な祝勝会になっていくような感覚です。
ベトナム名物「đi bão」とは?

この光景は、ベトナムで「đi bão」と呼ばれています。
「đi」は「行く」、「bão」は「嵐」。
日本語にそのまま訳すのは難しいのですが、「嵐に繰り出す」「嵐のように街へ出る」といったニュアンスです。
正式に開催されるパレードではありません。
誰かが「○時に集合」と号令をかけるわけでもありません。
代表チームが大きな勝利を収める。
すると自然に国旗を持った人たちがバイクに乗り、中心部へ向かい始める。
その数がどんどん増え、いつの間にか巨大な人の流れになっていきます。
まさに「嵐」のような光景です。
ダナンでも本当にそんなことになる?
なります。
ハノイやホーチミンほど人口の多い都市ではありませんが、ダナンもサッカー代表戦の勝利時には大変な盛り上がりを見せます。
実際、2026年8月にベトナム代表がASEAN Cupで優勝した際にも、試合終了後に数千人の市民や旅行者がダナン中心部へ繰り出しました。
特に人が集まりやすいのが、
- バクダン通り
- チャンフー通り
- レズアン通り
- グエンヴァンリン通り
- ドラゴンブリッジ周辺
- ハン川沿い
などの中心エリアです。
2026年1月にU23ベトナム代表が韓国代表を破った際にも、レズアン通り、ディエンビエンフー通り、グエンヴァンリン通り、ドラゴンブリッジ、ハン川橋周辺などで交通が混雑し、外国人旅行者が一緒になって祝う姿も報じられました。
普段の夜のダナンしか知らない人が見ると、同じ街とは思えないほど雰囲気が変わります。
旅行者も一緒に盛り上がっていい?
「外国人が一緒になって騒いでも大丈夫なの?」
と少し心配になるかもしれません。
節度を守って楽しむのであれば、過度に構える必要はないでしょう。
実際にダナンでも、ベトナム代表の勝利を現地の人たちと一緒に祝う外国人旅行者の姿が報じられています。
道端から国旗を振る人たちを見たり、現地の人と一緒に「Việt Nam!」と声を上げたりするだけでも十分楽しめます。
むしろ、旅行中に偶然こんな夜に遭遇できたら、かなり珍しい体験です。
ただし、あくまで現地の人たちの祝勝ムードにお邪魔している旅行者。
- 車道へ突然飛び出さない
- バイクの大きな流れに無理に入り込まない
- 酔って過度に騒がない
- ベトナム国旗を乱暴に扱わない
- 警察や係員の交通誘導には従う
- 知らない人を至近距離から無断撮影しない
といった基本的な配慮は忘れないようにしましょう。
実は一番気をつけたいのが「移動できない」こと

đi bãoで旅行者が特に気をつけたいのは、祝勝ムードそのものよりも交通への影響です。
Google Mapsを見る。
ホテルからダナン国際空港まで15分。
「それなら1時間くらい余裕を見れば大丈夫だろう」
……代表戦で大きな勝利が決まった夜だけは、その計算を信用しすぎない方がいいかもしれません。
中心部の道路に大量のバイクや人が集まれば、当然ながら車の流れは遅くなります。
さらに厄介なのが、
「Grabが捕まった=車がホテルまで来られる」
とは限らないことです。
アプリ上ではドライバーが見つかっていても、その車が大混雑の中にいる可能性があります。
ホテルまで来るのに時間がかかったり、迎車地点までたどり着けなかったりすることも考えておいた方がいいでしょう。
「歩けばいい」は通用する?
車が動かないなら歩けばいい。
普段ならその判断で問題ありません。
しかし、大規模なđi bãoでは中心部に人とバイクが集中するため、場所によっては歩行者も思うように進めないことがあります。
特にドラゴンブリッジやハン川周辺など、人が集まりやすい場所を横切って移動しようとすると想定以上に時間がかかる可能性があります。
「最悪、歩けば何とかなる」と考えて、ギリギリまで街中にいるのはおすすめできません。
その日に飛行機があるならどうする?
旅行者にとって最も困るのは、もちろん飛行機に乗り遅れることです。
もしベトナム代表の重要な試合と帰国日が重なった場合は、試合開始前に少し確認しておきましょう。
- その試合が決勝・準決勝など重要な試合なのか
- 試合終了予定時刻
- ホテルから空港までのルート
- 中心部を通過する必要があるか
- 通常よりかなり早く移動できないか
特に試合終了時刻と空港移動が重なる場合は、試合が終わる前に空港方面へ移動してしまうのもひとつの方法です。
ダナン国際空港は市街地から近いので、早めに空港へ着いてしまっても致命的な問題にはなりません。
飛行機に乗り遅れるよりは、空港でコーヒーでも飲みながら時間を潰す方がずっと安心です。
飛行機だけじゃない。予約時間にも少し余裕を
気をつけたいのは空港だけではありません。
例えば、
- レストラン予約
- スパ予約
- ホイアンへの送迎
- ツアー集合
- 空港送迎
- 長距離バス
など、決まった時間に移動する予定がある場合も同じです。
重要な代表戦の日は、予定を詰め込みすぎない方が安心です。
逆に、予定がないならかなりラッキーかもしれない
ここまで読むと、「代表戦の日はホテルから出ない方がいいの?」と思うかもしれません。
そんなことはありません。
翌朝もゆっくり。
空港にも行かない。
ホテルも徒歩圏。
そんな日にđi bãoに遭遇したなら――。
むしろ、かなりラッキーかもしれません。
国旗で真っ赤になった街。
鳴り響くクラクション。
バイクに乗った家族。
知らない人同士が笑顔で「Việt Nam!」と叫ぶ。
普通の観光ツアーを予約しても、これはなかなか体験できません。
ドラゴンブリッジやハン川沿いの安全な場所から、その熱気を眺めるだけでも十分面白いと思います。
「危ないイベント」と決めつける必要もない
大量のバイク、人、クラクション。
写真だけを見ると、かなり激しい光景に見えます。
もちろん、大人数が道路へ集まる以上、交通事故や混雑には注意が必要です。
しかしđi bãoそのものを「危険な暴動」のように捉えるのも違います。
多くの人は国旗を振り、クラクションを鳴らし、代表チームの勝利を喜んでいます。
実際、ダナンで大規模な祝勝が行われる際には、警察などが交通整理や治安維持にあたる様子も見られます。
旅行者としては、混雑の中心に無理に入るのではなく、少し離れた安全な場所から楽しむくらいがちょうどいいでしょう。
なぜベトナム人はここまでサッカーで盛り上がるの?
đi bãoを見ていると、「ベトナム人って、本当にサッカーが好きなんだな」と感じます。
ただ、面白いのはサッカーの試合そのものだけではありません。
ベトナムでは、大きな試合になると家族や友人が集まったり、カフェや飲食店でみんな一緒に観戦したりします。
そして勝てば、その喜びが家の中や店の中だけでは終わらず、そのまま街へ飛び出していく。
đi bãoは、サッカー観戦というより勝利の喜びを知らない人とも共有する巨大な街のお祭りに近いのかもしれません。
旅行者が見ても面白いのは、まさにそこです。
まとめ|ベトナム代表が勝った夜は、少し予定を確認してから街へ
ベトナム代表が大きな試合に勝った夜。
街が真っ赤になり、クラクションが鳴り響き、道路がバイクで埋まる。
初めて見れば、
「大丈夫なの、これ?」
と思うかもしれません。
でも、多くの場合、それはベトナムの人たちが代表チームの勝利を思い切り喜んでいる光景です。
旅行中に偶然出会えたなら、それもきっと忘れられない旅の思い出になります。
ただし、旅行者として覚えておきたいのは、
- 道路が大混雑する可能性がある
- Grabが思うように動けない場合がある
- 徒歩でも時間がかかることがある
- 空港やツアーなど時間厳守の移動は早めに
- 無理に混雑の中心へ入らない
ということ。
そして、3時間後に飛行機がある人だけは、思い出作りより先に空港へ向かいましょう。
予定が何もない夜なら、ぜひ安全な場所から街を眺めてみてください。
普段の観光ではなかなか見ることのできない、ベトナムのものすごい熱量を感じられるはずです。



