ベトナムを歩いていると、よく見かける光景があります。
公園。
学校の近く。
川沿いの遊歩道。
広場。
気が付くと誰かが羽根を蹴っています。
最初は、
「ベトナム版の羽根つきかな?」
くらいに思っていました。
しかし、しばらく見ているうちに違和感を覚えます。
いや、
うますぎない?
子どもだけではありません。
学生も。
おじさんも。
おばさんも。
なぜかみんな上手いのです。
そして気が付けば、
「そんなに上手いなら自分もできるだろう」
と思い始めていました。
これがすべての始まりでした。
ダー・カウとは?
ダー・カウ(Đá cầu)は、ベトナムで非常に人気のあるスポーツです。
見た目は羽根つきに近いのですが、手は使いません。
足や膝、頭などを使って羽根を落とさないように蹴り続けます。
簡単に言えば、
バドミントンの羽根とサッカーのリフティングを組み合わせたような競技
です。
実際には正式な大会もあり、ベトナム代表選手も存在します。
ただ、旅行者がまず目にするのは競技としてではなく、
街角で楽しんでいる人たちでしょう。
こちらの動画をみていただくと、その上手さが分かります。
私も買ってみた

ホイアンやダナンのナイトマーケットを歩いていると、ダー・カウは意外と簡単に手に入ります。
値段もそれほど高くありません。
むしろ、
「記念に買ってみようかな」
くらいの気軽さです。
私もそんな軽い気持ちで購入しました。
その時は思っていたのです。
ベトナム人のおじちゃんがあんなに簡単そうにやっているのだから、自分も少しくらいはできるだろうと。
今思えば、その考えが甘かったのです。
そして5分後に現実を知る
ここで一つ補足しておきます。
私は子どもの頃から約10年間サッカーをやっていました。
別にプロを目指していたわけではありませんが、リフティングだって100回くらいなら普通にできました。
だからダー・カウを買った時も、
正直こう思っていました。
「羽根になっただけでしょ?」
「要するにリフティングみたいなものでしょ?」
と。
今振り返ると、その自信はどこから来たのか分かりません。
まず1回。
落ちる。
もう1回。
落ちる。
さらにもう1回。
やっぱり落ちる。
気付けば、
ダー・カウを蹴っている時間より、
地面から拾っている時間の方が長い。
最高記録は3回。
しかも実力ではありません。
たまたまそこに落ちてきた羽根に、たまたま足があった結果の3回です。
サッカーボールならまだ分かります。
蹴ったら飛ぶ方向もある程度予想できます。
でもダー・カウは違います。
まず言うことを聞きません。
右へ蹴ったと思ったら左へ行く。
優しく蹴ったつもりなのにどこかへ飛んでいく。
少し強く蹴ったら、今度は宇宙を目指し始める。
あれはいったい何なのでしょうか。
羽根なのか。
生き物なのか。
少なくとも私には制御不能でした。
一方その頃、
向こうでは小学生くらいの子どもが20回、30回と続けています。
しかも楽しそうです。
こちらは3回で心が折れかけています。
さらによく見ると、
ただ続けるだけではありません。
回転します。
ジャンプします。
なぜか後ろ向きで蹴ります。
もはやこちらが知っているリフティングとは別競技です。
この時、
私は悟りました。
ダー・カウは「羽根つき」でもなければ「リフティング」でもない。
ベトナム人だけが当たり前のように習得している謎の特殊スキルなのだと。
ベトナム人はなぜあんなに上手いのか
不思議なのは、上手い人が本当に多いことです。
子どもだけならまだ分かります。
しかし、
学生。
会社員らしき若者。
おじさん、おばさん。
時には年配の方まで。
誰がやっても普通に続くのです。
しかも、
「頑張って続けている」
感じではありません。
会話しながら。
笑いながら。
当たり前のように続いています。
日本で言えば、
キャッチボールくらい自然な感覚なのかもしれません。
途中からアクション映画になる
さらに驚くのはここからです。
普通に蹴るだけでは終わりません。
突然回転します。
ジャンプします。
背中側から蹴ります。
なぜか技を出し始めます。
こちらが3回続いただけで喜んでいる頃には、
向こうではおじさんが360度回転しながら続けています。
正直、
どこでそんな技を覚えたのか気になります。
もはや羽根つきというより、
軽いアクション映画です。
実はベトナム人の生活に溶け込んでいる
ダー・カウは単なる遊びではありません。
ベトナムでは昔から親しまれており、多くの人が子どもの頃から触れています。
だから上手いのです。
公園に行けば誰かがやっている。
友達同士で集まれば始まる。
世代を超えて楽しめる。
そんな文化が根付いています。
スマホゲームや動画視聴ももちろん人気ですが、
外で身体を動かして遊ぶ文化が今も残っているのはベトナムらしいところです。
ダー・カウを見ているとベトナムらしさが見えてくる
旅行者はつい有名観光地に目が向きます。
ダナンならドラゴンブリッジ。
ホイアンならランタン。
もちろんどちらも素晴らしいです。
でも、
ベトナムらしさを感じる瞬間は意外と別のところにあります。
夕方の公園で羽根を蹴る若者たち。
川沿いで笑いながら遊ぶ子どもたち。
そこへ自然と混ざる大人たち。
ダー・カウを見ていると、
ベトナムという国の人との距離感や、外で過ごす文化が少し見えてくる気がします。
もし見かけたらぜひ挑戦してみてください
もしダナンやホイアンでダー・カウを見かけたら、ぜひ一度手に取ってみてください。
値段も手頃ですし、お土産にもなります。
そして何より、
ベトナム人がどれだけ凄いのかを身をもって体験できます。
きっと最初は続きません。
おそらく私と同じように3回前後で終わると思います。
ですが、その瞬間から、
公園で軽々と続けているベトナム人たちの見え方が変わります。
「あの人たち、実はすごかったんだな」
と。
まとめ|ベトナム人が羽根を蹴るのが上手い理由
ベトナム人がダー・カウを上手にできる理由は単純です。
子どもの頃から慣れ親しみ、文化として生活の中に溶け込んでいるからです。
しかし旅行者からすると、
その光景は少し不思議でもあります。
気軽に遊んでいるように見えるのに、レベルが高すぎるのです。
もしダナンやホイアンでダー・カウを見かけたら、少し立ち止まって眺めてみてください。
そして機会があればぜひ挑戦してみてください。
ちなみに私は今でもダー・カウを持っています。
ただし、上達したかと聞かれると……
その話はまた別です。
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