ダナン観光で必ずと言っていいほど紹介されるスポットがあります。
それが、
「ピンクの教会」
です。
ミーケビーチで遊び、ハン市場で買い物をして、その途中で立ち寄る。
ダナン旅行ではすっかり定番になっています。
でも少し考えてみてください。
なぜ、この教会はピンク色なのでしょうか?
そしてもう一つ。
現地のベトナム人に
「ピンクの教会はどこですか?」
と聞くと、少し首をかしげる人がいます。
その代わりに返ってくるのが、
「À… Nhà thờ Con Gà?」
という言葉。
直訳すると、
「ニワトリ教会」
です。
……
え?
今度はニワトリ?
さっきまでピンクだったのに、急に家禽(かきん)が登場します。
実はこの教会、
日本人旅行者が呼ぶ
「ピンクの教会」
と、
現地の人が呼ぶ
「ニワトリ教会」
という、二つの名前を持っています。
しかも、その背景には100年以上続くダナンの歴史と、フランス統治時代、そしてキリスト教の深い物語が隠されています。
この記事では、観光スポットとしてだけではなく、
「ダナンという街を100年以上見守り続けてきた建物」
という視点から、この教会の魅力を深掘りしていきます。
読み終わる頃には、きっと次にこの教会を訪れた時の見え方が少し変わっているはずです。
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ダナンのピンクの教会とは?
まず正式名称から見ていきましょう。
私たち日本人が「ピンクの教会」と呼んでいるこの建物の正式名称は、
ダナン大聖堂(Da Nang Cathedral)
です。
ベトナム語では、
Nhà thờ Chính tòa Đà Nẵng
と呼ばれています。
現在もダナン教区の司教座聖堂(カテドラル)として利用されており、観光施設ではなく、今もなお現役でミサが行われている教会です。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | ダナン大聖堂(Da Nang Cathedral) |
| ベトナム語 | Nhà thờ Chính tòa Đà Nẵng |
| 愛称 | ニワトリ教会(Nhà thờ Con Gà) |
| 建設 | 1923年 |
| 建築様式 | ゴシック様式 |
| 高さ | 約70m |
| 所在地 | 156 Trần Phú, Hải Châu, Đà Nẵng |
| 見学料 | 無料 |
現在ではダナンを代表する観光スポットの一つですが、その始まりは今から100年以上前にさかのぼります。
実は「ピンクの教会」は日本人だけ?
ここが最初の面白いポイントです。
日本の旅行サイトやSNSを見ると、
「ピンクの教会」
という呼び名が圧倒的です。
ところが現地では、
Nhà thờ Con Gà
という名前の方が一般的です。
Con Gà(コンガー)は、
ベトナム語で
「雄鶏(ニワトリ)」
という意味。
つまり、
正式には
「ニワトリ教会」
なのです。
初めて聞くと、
「いやいや、ピンクの方が特徴じゃない?」
と思ってしまいます。
私も最初はそうでした。
でも実際に教会を見上げると、
その理由が分かります。
ニワトリはどこにいる?

答えは、
教会の一番上です。
高さ約70mの尖塔の先端を見ると、
小さな雄鶏が取り付けられています。
しかもこれは単なる飾りではありません。
風向きを示す
風見鶏
になっています。
「ダナンへ行ったのにニワトリなんて見なかった。」
という人も多いと思います。
それもそのはず。
ほとんどの人はピンク色の外観や写真撮影に夢中で、一番上まで見上げる機会があまりありません。
ぜひ次回訪れたら、少しだけ首を上げてみてください。
100年以上前からダナンの風を受け続けている、小さな雄鶏がそこにいます。
なぜ雄鶏なの?
実はこの雄鶏には、キリスト教における大切な意味があります。
新約聖書には、
イエス・キリストの弟子である
聖ペテロ
が登場します。
イエスは処刑される前、
ペテロにこう告げました。
「鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うだろう。」
その言葉どおり、
ペテロは恐れからイエスとの関係を三度否定してしまいます。
そして、
雄鶏が鳴いた瞬間、
自分の過ちに気付き、深く悔い改めたと伝えられています。
この出来事から、
雄鶏は
「目を覚ますこと」
「信仰を忘れないこと」
「悔い改め」
の象徴となりました。
つまり、
ダナン大聖堂の頂上にいる雄鶏は、
街を見守るマスコットではなく、
信仰を象徴する存在なのです。
もちろん、風見鶏として風向きを知らせる役割も兼ねています。
観光で訪れるだけでは気付きにくいですが、この小さな雄鶏にも100年以上受け継がれてきた意味が込められています。
100年前のダナンはどんな街だったのか

出典:Wikimedia Commons(Public Domain)
ここで少し時計を100年前へ戻してみましょう。
現在のダナンは、
- ベトナム中部最大の都市
- ビーチリゾート
- 高級ホテルが立ち並ぶ観光都市
というイメージがあります。
しかし1923年当時は、まったく違う景色でした。
その頃のダナンは、
Tourane(トゥーラン)
という名前で呼ばれていました。
現在のダナンはベトナムの都市ですが、
当時は
フランス領インドシナ
でした。
港にはヨーロッパからの船が入り、
行政機関や商館が並び、
フランス人や宣教師も数多く暮らしていました。
つまり、
現在私たちが歩いているハン市場周辺も、
100年前はフランス植民地時代の港町だったのです。
ダナン大聖堂が建てられた理由
1923年。
フランス人司祭
ルイ・ヴァレ(Louis Vallet)
によって、この教会の建設が始まります。
当時ダナンには、
フランス人やヨーロッパ人のカトリック信者が増えていました。
しかし、本格的な教会はありませんでした。
そこで、
彼らが祈りを捧げる場所として建設されたのが、
現在のダナン大聖堂です。
完成した教会は、
当時のTouraneでは唯一ともいえる本格的なカトリック教会となりました。
現在では観光スポットという印象が強い建物ですが、
もともとは、
この街で暮らす人々の「日常の祈りの場」として生まれた場所だったのです。
ピンク色は最初からだった?
ダナン大聖堂といえば、やはり印象的なのが外壁のピンク色です。
現在では「ピンクの教会」として世界中の旅行者に親しまれていますが、
実は、この色については意外と誤解も多くあります。
「最近インスタ映えを狙って塗り直した」
「観光客向けにピンクにした」
そんな話を聞くこともありますが、実際は違います。
教会は1923年の建設当初から淡いピンク系の外壁だったとされており、その後も同系色で維持・塗り替えが行われてきました。
ただし、「なぜピンク色が選ばれたのか」については公式な記録は残っておらず、さまざまな説があります。
その中でも有力なのが、フランス植民地時代に好まれたパステルカラーの建築様式や、強い日差しの下でも美しく映える色彩設計だったという見方です。
つまり、「なぜピンクなのか」という問いに対しては、明確な答えが残っているわけではありません。
それでも100年以上、この優しい色合いがダナンの街を彩り続けてきたことは間違いありません。
ゴシック建築って何がすごいの?

ダナン大聖堂を初めて見ると、
「かわいい教会だな。」
という印象を持つ人が多いと思います。
もちろん、その感想も間違いではありません。
でも少しだけ立ち止まって建物を眺めてみると、
「あれ?」
と思うポイントがいくつもあります。
尖った屋根。
縦に長い窓。
空へ向かって伸びる塔。
実はこれらには、すべて意味があります。
ダナン大聖堂は、
ゴシック様式
を取り入れた教会として建設されました。
ゴシック建築とは、12世紀頃のフランスで発展した建築様式で、
「より天へ近づくこと」
を表現するために生まれたデザインと言われています。
そのため教会全体が、
空へ向かって伸びるようなデザインになっています。
ダナン大聖堂も同じです。
高さ約70mの尖塔は、
単に目立つためではなく、
“神へ祈りを届ける象徴”
として建てられています。
100年前の人々も、
この塔を見上げながら祈りを捧げていたのかもしれません。
外観だけでなく「窓」にも注目

多くの観光客は、
教会の正面で写真を撮って終わります。
もちろん、それも良い思い出になります。
でも少しだけ建物を一周してみてください。
すると気付くのが、
縦に長く並ぶ窓です。
これはゴシック建築を代表する
ランセット窓
と呼ばれる形です。
細長いアーチ状の窓は、
建物を軽やかに見せるだけではありません。
内部へ柔らかい自然光を取り込み、
祈りの空間を神秘的に演出する役割もあります。
派手ではありませんが、
こういう細かな部分を見ると、
100年前の建築家のこだわりが感じられます。
ステンドグラスにはどんな意味がある?

教会内部に入ることができたら、
ぜひ見上げてほしいのが
ステンドグラスです。
カラフルで美しいだけではありません。
昔は文字を読めない人も多かったため、
聖書の物語を絵で伝える役割がありました。
つまり、
当時のステンドグラスは、
今でいう
「絵本」
や
「スライド教材」
のような存在だったとも言えます。
「見て学ぶ」
という役割を持っていたんですね。
旅行中はつい写真ばかり撮ってしまいますが、
一度だけでも、
ゆっくり眺めてみると教会の印象が大きく変わると思います。
教会の裏側には「ルルドの洞窟」がある

実は、
正面だけ見て帰ってしまう人が非常に多いのですが、
教会の裏側にも見どころがあります。
それが
ルルドの洞窟(Lourdes Grotto)
です。
これはフランス南西部にある
ルルドの聖地を再現したもの。
カトリックでは非常に重要な巡礼地として知られています。
洞窟内には聖母マリア像が置かれ、
今でも祈りを捧げる人が訪れます。
観光客にはあまり知られていませんが、
実はこここそ、
現在も信仰が続いていることを感じられる場所です。
写真映えだけではない、
“生きた教会”
であることを実感できます。
ベトナム戦争でも残り続けた教会
1923年に完成したダナン大聖堂。
その後、
ベトナムは激動の時代を迎えます。
第二次世界大戦。
フランスからの独立。
そして、
ベトナム戦争。
ダナンは軍事拠点として重要な都市になり、
市内も大きく変化しました。
それでも、
この教会は大きく姿を変えることなく、
現在まで残り続けています。
もちろん修復や補修は行われています。
しかし、
100年以上前の建物が、
戦争や都市開発を乗り越えて今も現役で使われているという事実は、
改めて考えると本当にすごいことです。
1963年、ダナン大聖堂になった
もう一つ、
この教会にとって大きな転機があります。
それが
1963年
です。
この年、
ダナン教区が設立され、
この教会は
司教座聖堂(カテドラル)
となりました。
つまり、
単なる教会ではなく、
ダナン地域全体を代表する教会になったのです。
現在の正式名称
「ダナン大聖堂」
も、
ここから来ています。
ベトナムは仏教だけの国ではない
日本人は、
「ベトナム=仏教」
というイメージを持っている人が多いと思います。
もちろん仏教は広く信仰されています。
しかし実は、
ベトナムには約700万人以上のカトリック信者がおり、
人口のおよそ7%を占めています。
これはアジアでも比較的多い割合です。
その背景には、
約80年間続いたフランス統治時代があります。
ダナン大聖堂は、
その歴史を今も静かに伝える建物でもあります。
だからこそ、
単なる「かわいいピンク色の教会」では終わらない魅力があるのです。
観光地ではなく「今も祈りの場」
ここはぜひ覚えておきたいポイントです。
ダナン大聖堂は、
テーマパークではありません。
観光用に造られた建物でもありません。
今も毎週ミサが行われ、
地元の信者が祈りを捧げる、
現役の教会です。
そのため、
観光客が多い日でも、
静かな空気が流れています。
教会へ入ることができたら、
少しだけ声のボリュームを下げてみてください。
スマホを見る時間を少し減らして、
100年前から続く空間を感じてみる。
そんな時間も、
ダナン旅行の素敵な思い出になると思います。
「かわいい」だけではもったいない
SNSでは、
「ダナンのピンクの教会かわいい!」
という投稿をよく見かけます。
もちろん、その感想も間違いではありません。
でも、
100年以上前に建てられ、
戦争を乗り越え、
今も現役で祈りの場として使われ、
ダナンという街の発展をずっと見守ってきた建物だと知ると、
見え方が少し変わりませんか?
次に訪れた時は、
ぜひ正面だけでなく、
塔を見上げ、
ステンドグラスを眺め、
裏手のルルドの洞窟まで歩いてみてください。
きっと、
「写真映えする観光地」
ではなく、
「100年の歴史が息づく場所」
として心に残るはずです。
ダナン大聖堂は中に入れる?
これは旅行者から非常によくある質問です。
答えは、
「入れる日もあれば、入れない日もあります。」
実際に訪れてみると、
「門が閉まっていて敷地に入れなかった。」
という人も少なくありません。
「せっかく来たのに休館日?」
と思ってしまいますが、
実はそうではありません。
なぜ門が閉まっていることがあるの?
理由はとてもシンプルです。
ダナン大聖堂は、
観光施設ではなく、現在も現役で使われている教会だからです。
そのため、
以下のようなタイミングでは見学が制限されることがあります。
- ミサ
- 結婚式
- 洗礼式
- 葬儀
- 宗教行事
- 教会関係者のみが利用する時間
つまり、
「今日は観光客を入れない日」
というより、
「今日は信者のための時間」
という考え方です。
だから門が閉まっていても、
「タイミングが悪かっただけ」
と思えば大丈夫です。
一番おすすめの見学時間


個人的におすすめなのは
朝
7:30〜9:00頃
この時間帯は
- 人が少ない
- 気温が低い
- 写真が撮りやすい
というメリットがあります。
夕方
16:30〜17:30頃
西日が柔らかく、
ピンク色が一番きれいに見える時間帯です。
昼間よりも色合いが優しく見えます。
ミサを見学してもいい?
基本的には可能です。
ただし、
観光目的ではなく、
宗教行事を見学させてもらう
という気持ちが大切です。
マナー
- 私語は控える
- フラッシュ撮影をしない
- 前方へ行き過ぎない
- 帽子は外す
- 携帯電話はマナーモード
日本のお寺でも法要中に大声で話す人はいませんよね。
それと同じです。
服装に決まりはある?
厳格なドレスコードはありません。
しかし、
宗教施設なので、
極端な露出は避けるのがおすすめです。
特に
- 水着
- 上半身裸
- 過度に短いパンツ
などは控えましょう。
旅行中なのでラフな服装でも問題ありませんが、
少しだけ配慮すると気持ちよく見学できます。
写真撮影のおすすめスポット
実は、
正面だけで終わるのは少しもったいないです。
正面広場
定番。
まずはここ。
少し道路を渡った場所
教会全体が入りやすくなります。
広角レンズがあるとさらにきれいです。
側面
ゴシック建築らしい窓が並びます。
建築好きならこちらもおすすめ。
裏手
ルルドの洞窟。
観光客が少なく、
静かな雰囲気があります。
雨の日でも楽しめる?
むしろおすすめです。
ダナンは雨季になると、
ピンク色が少し濃く見えます。
路面も濡れるため、
教会が映り込み、
少し幻想的な雰囲気になります。
晴天とは違った魅力があります。
ハン市場とセットで観光しよう
ダナン大聖堂は、
街歩きにもぴったりです。
例えば、
モデルコース
ハン市場
↓
ダナン大聖堂
↓
ピンク教会周辺カフェ
↓
ダナン大聖堂前通り散策
↓
ダナン大聖堂ライトアップ
↓
ドラゴンブリッジ
徒歩でも十分回れます。
周辺のおすすめカフェ
教会周辺には
おしゃれなカフェも増えています。
ピンク色の教会を眺めながら
ベトナムコーヒーを楽しめる店もあります。
暑い日は、
ここで少し休憩するのもおすすめです。
よくある質問
Q ピンク色は塗り替えている?
はい。
現在の色は定期的な補修・塗装が行われています。
ただし、
建設当初から同系統の色だったとされています。
Q 無料?
無料です。
Q 予約は必要?
不要です。
Q 夜は入れる?
夜は外観のみになることが多いです。
Q 子ども連れでも大丈夫?
もちろん大丈夫です。
ただし、
ミサ中は静かに見学しましょう。
Q ベストシーズンは?
乾季(2〜8月)
青空とのコントラストが非常にきれいです。
ダナンの街を100年以上見守る教会
1923年。
この教会が完成した頃、
目の前には高層ホテルもありませんでした。
AEON MALLも、
ドラゴンブリッジも、
もちろんありません。
まだTouraneと呼ばれていた港町。
港にはフランス船が停泊し、
人々はここで祈りを捧げていました。
それから100年以上。
戦争があり、
街は復興し、
ビーチリゾートになり、
世界中から観光客が訪れるようになりました。
その間も、
この教会だけは、
静かに同じ場所でダナンを見守り続けています。
私たち旅行者は、
数日しかこの街に滞在しません。
でもこの教会は、
100年以上という時間の中で、
何万人、何十万人という旅人を見送ってきました。
そう考えると、
ただ「ピンクでかわいい教会」というだけでは、
少しもったいない気がします。
まとめ
ダナン大聖堂は、
写真映えする人気観光スポットとして知られています。
しかし、その歴史を知ると、
見え方は大きく変わります。
- フランス統治時代に建てられた教会
- 100年以上ダナンを見守ってきた建築
- 「ピンクの教会」ではなく「ニワトリ教会」という地元の愛称
- 今もなお現役で祈りの場として使われる大聖堂
- 戦争や都市の発展を乗り越えてきた歴史
こうした背景を知ってから訪れると、
きっと写真を撮るだけでは終わらない時間になるはずです。
次にダナンを訪れたら、
ぜひ一度だけ立ち止まり、
塔の上の小さな雄鶏を見上げてみてください。
100年以上前から変わらず、
ダナンの風向きを見つめ続けているその姿が、
この街の歴史を静かに語ってくれるかもしれません。



